2001年1月10日公開(紅緑さん作)
無謀
ファイラが「千代の富士曙丸(ちよのふじ あけぼのまる)」に潜入したのと同時刻、
宇宙連邦政府代1地区から最強の駆逐艦、
グランド・タイタイ・フーチャー・エジプルト・ランゴロッゴが太陽系に向けて出発していた。
話はそれるが、宇宙連邦が所有する最大で最強の戦艦であるはずの駆逐艦が、
このように長いかというと、この戦艦を建造した星々の名前から付けられているからである。
ちなみに、この戦艦の名前を決めるために星々での戦争が勃発したことは公然の秘密である・・・。
そのときファイラは、千代の富士曙丸(以下:ちよちゃん)にハッキングを仕掛けていた。
「なるほど・・・ふむふむ・・・・・なるなる・・・・。」
彼女が調べたところ、こんなところが書かれていた。
身長 100万キロメートル
砲門、 特大25。大225。中2500。小25000。
ちなみに、宇宙連邦政府の最強駆逐艦のデーターは、
身長 10万キロメートル
砲門、 特大1、大5、中50、小250。
である。大人と赤ちゃんのようなちがいである。
「これは・・・」
ファイラの顔が歪む。
「ふっふっふ・・・まさに私のためにある戦艦ね・・・」
いや、笑っていた・・・。そして彼女の頭はフル回転を始めた。
「まずは・・・、そう・・・人質を・・・・いや、まずは武器!そして・・・・」
どっちが悪者なのか、そんな卑怯なことをファイラはぶつぶつ言っていた。
数分後。
ファイラは第一エリアの武器倉庫で、
遺伝子操作された戦闘サイボーグ「ゲルヨン」の団体に歓迎された。
いま、ファイラとゲルヨンの膠着状態になっていた。
「まさか、これだけのゲルヨンがいるなんて・・・」
ファイラがつぶやく。
ゲルヨンとは、ある星で開発された戦闘兵器である。
身長が3メートルあり、肉弾戦では恐ろしいほどの怪力と俊敏さを持っている。
裏のルートでは一体で高額な値段がつくと言う・・・・。
ゆえにファイラといえども、うかつな動きが出来なかった。
だが、IQ450は伊達ではなかった。
(ゲルヨンが襲ってこないとなると、誰かが話にくる・・・?)
そう、考えているとゲルヨンの背後から聞こえてた。
「おきに召したかな?」
ゲルヨンが道をあけ、そこから男が現れた。姿は爬虫類型の男で黒いスーツを着ていた。
「こんな大勢のゲルヨンで、か弱い乙女を襲おうなんて下劣なこと、よく考え付くわね!!」
ファイラは、勢いよく言った。
一瞬、唖然となる男。そして笑い出す。
「はっはっはっはっは。あなただけには、そんなこと言われたくなかったんですけどね。悪名名高いファイラ警
部補さん。」
「うっさいわね、このヘビ!!」
ピクっと男の額が動く、だが我慢して。
「そ、そんなことよりグランド・タイタイ・フーチャー・エジプルト・ランゴロッゴがこの太陽系に向かってい
ることは知っているな!!」
「そう?」
「そうだ!だが・・・・」
「「だが、この戦艦の前では紙くずも同然。その証拠を見せてやろう!」って言いたいんでしょう?」
「うっ、そうだ。・・・わかってるじゃないか」
にやにやと笑う男。
「やれば」
と、一言。
「・・・・なに?」
ファイラの答えは男にとって予想外のことであった。
普通ならば、やめろとか、そんなことはさせない!とか言うと思っていたためだ。
そして、ファイラはうれしそうに語る。
「私ね、人の不幸が大好きなの。だから私、連邦政府やめて世界を征服することにきめたの!」
「なんだとっ!!」
すでに男の思考では考えられない状況へと追い込まれつつあった。
「で、これなんだと思う?」
ファイラが取り出したのはリモコンであった。
「・・・なんだそれは」
「ちよちゃんのた・い・ほ・う!」
そういって、ファイラはリモコンのボタンを押した。
ポチ。
ちよちゃんから放たれた特大の大砲は
ワープしていた宇宙連邦政府最強の駆逐艦にあたって一瞬で消滅した。
「ば、ばかな・・・・。」
それをモニターで見たヘビとゲルヨンたちは口をあけて絶句した。
そのとき、彼女の姿はそこにはなかった。
彼女はヘビとゲルヨンの尻目に、この危機をうまく脱出したのだ。
数万という、尊い犠牲と最大の戦艦の破壊があったが・・・。
彼女は一度隠れるため、暗い部屋へと入った。
「ここは・・・?」
暗くてよく見えなかったが、次第に見えるようになっていった。
そこは、何かを研究していたらしい部屋だったことがわかった。
「!!これはっ!!」
彼女は見た。
カプセルの中に裸の白い男がいるのを・・・・。
続く