2001年2月10日公開(紅緑さん作)
無謀
「これで完全に宇宙連邦が敵にまわった訳ね。いいわ、受けて立とうじゃないの!」
ファイラは決意した。やるからには徹底的に。圧倒的な破壊力で。
ファイラの悪魔の頭脳が斬新な回転をし始めた。
しかし、そのときファイラは後ろに機関銃を持った男達がいることに気が付いていなかった。
場所変わって宇宙連邦政府、特別会議室。
ここには地区の代表13人の長官が集まっていた。
「A計画は失敗か。」
書類を見ていた代13地区長官はそういった。
「テロリストに見せかけて、殺す。なかなかいい案だったんだがな。」
と代11地区長官。
「しかし、連邦政府、最強といわれた戦艦が一瞬で破壊されるとはな。今年の予算もまた赤字だな。」
やれやれ、と皆いっせいにコーヒーを飲む。
しかし、代1地区長官だけはコーヒーを飲まずにそれを否定した。
「いや、まだ終わってはいない。あれは計画のほんの一部だ。」
皆が、不思議な顔をする。
「一部?私は聞いていないが?」
代9地区長官は聞いた。
「知るはずがない。上から直接聞いたのだからな。」
「”使途”の”調整”プログラム、か。」
”使途”という言葉とともに、静かな沈黙が訪れた・・・・。
ファイラは殺気を感じて、とっさに左に跳んだ。
同時に機関銃から火が吹いた。
ぱら、ぱらららららららら。
「いた、いたたたたたたたた!!」
跳んだが避け切れなくて、機関銃の弾がファイラの背中に当たった
服はたくさんの小さい穴が出来てしまった。が、彼女は無傷であった。
それはファイラがフロッグ人の血を受け継いだためである。
そのため、フロッグ人特有の超人的な肉体の賜物であった。
「なにするのよ!」
しかし、やっぱり痛かったらしい。ファイラは文句をいうため振り返って相手を見た。
そこには、さっきカプセルに入っていた男と同じ顔の男達がいたのだった。
男達は皆、同じような白いスーツを着て機関銃をファイラに向けていた。
「死ネ、ファイラ。」
真ん中にいた男がファイラに死を宣告した。
同時に機関銃が連射される。
ぱららららららら。
ぱららららららら。
ぱららららららら。
ぱららららららら。
ぱららららららら。
「いたたたたたたた!!
いたたたたたたた!!
いたたたたたたた!!
いたたたたたたた!!
いたたたたたたた!!」
銃声が鳴り止み、男が驚愕の声をあげる。
「シ、シナナイ!化ケ物カ!!!」
というか、さっきの攻撃でわかっても良いようなものだが・・・。
「あんた達に言われたくないわよ!!」
と文句をいいながらファイラは武器庫から盗んだ爆弾を投げた。
「コンナトコロデ、ソンナモノヲツカッタラ・・・・!!」
男が言い終えないうちに爆弾が爆発した。
ピカッ!
ドンガラガッシャン!!
昔のコントのような音を出しながら男達を木っ端微塵に打ち砕く。
「アーーーーー」
「タスケテーーーー」
少数の生き残った男達の悲鳴声が、まるで美しい音楽のように鳴り響いた。
(と、ファイラは思った。)
ファイラはその男達に近づいて、どこからともなく
”100t”とかかれたハンマーをとりだしていった。
男達はファイラの笑みがまさに悪魔のように見えていた。
「まっててね。今、とどめをさしてあげるから」
「モウシマセンーーーーー」
「コロサナイデーーー」
「イシャハドコダーーー」
「オカーサーンーーーー」
「ユルシテーーーーー」
「アクマーーーーー」
「オニーーーー」
男達は情けない声をあげていた。が、情け声をあげればあげるほど
ファイラが楽しくなることを知らなかった。
数分後、床は血の海になっていた。
そこからファイラが場所を移動しようとしたときである。
「そこまでだ。」
と、スピーカーから誰かが叫んだ。
「私はテロリストグループ”ケロンパ”のボス、田中平八だ。ファイラ君と話がしたい。」
「いや。」
ファイラは即答した。一瞬の沈黙が訪れる。
「わがままいうなぁー!!」
スピーカーから、鼓膜が破裂するんじゃないかというほどの怒鳴り声であった。
「うっさいわね!わたしに指図するんじゃない!!」
耳をふさいだままファイラが反論する。
「そんなことより、君はこの船を乗っ取ったつもりでいるようだが、もう遠隔操作は出来ないようにした。」
「なんですって?」
「私がこの戦艦を掌握したのだ。その証拠に宇宙連邦政府には、この話は筒抜けにはならん。」
本当か?とファイラは思った。もし、本当ならこの男はファイラよりも頭が回るらしい。
「それで?あんたと手を組めというの?」
「いや、君の詳細を聞いて仲間にするのはあきらめた。」
男の言葉何かを含めた言い方であった。
「じゃあ、なんなの?」
むっとしたファイラが聞いた。
「簡単なことだ。過去に言ってもらう。」
「いや。」
ファイラは即答した。また、一瞬の沈黙が訪れる。
「わがままいうなぁー!!」
「あんたのほうだー!あんたの!!」
ファイラが反論する。いや、突っ込みと言ったほうが正しいか。
「過去なんて行けるわけないでしょ!!」
「それが出来るのだ!話を聞けファイラ!!」
「いや。」
ファイラは即答した。また、一瞬の沈黙が訪れる。
「わがままいうなぁー!!」
「あんた、それしか言えんのかー!!」
ファイラの突っ込みで田中は落ち着きを取り戻したようだ。
「ふっ。もう遅い。この船は過去へとタイムトラベルしているのだ!!はっはっは!!」
いや、田中はもう半ばやけくそになっていた。
「うそよ!」
「ならばそこから外を見てみろ!」
「!!これは!!」
なんと外は、「ドラえもんのタイムトラベル」と同じ空間が広がっていた!!
「さあ、これで本当に過去に行けることが判っただろう。だから話を聞け!」
「いや。」
ファイラは(以下略)
数分後。ファイラと田中は同じ場所にいた。
「いい、わかった?」
「はい。あなた様に忠誠を誓います。」
どうやらファイラの催眠術によって、田中は忠実な下僕となってしまったようだ。
そんなことをしていたら、とっくに外の景色が元の空間に変わっていた。
「どうやら着いたようね!」
「はい、そのようでございます。」
「・・・あれは?」
「あれが地球でございます。」
ファイラ達の前に青い星があった。
そう、この青い星こそ紛れもない地球であった。
第6話に続く