12巻にて、ゴン達が旅団のもとから逃げ出そうとした部分がある。結局は失敗したものの、綿密な打ち合わせも無しにあんな事ができるなんて、ゴン達は本当にすごい!
…と、簡単に思ってはならない。一見すごく見えるが、よく考えると何をしたかったのか さっぱり解らないのである。
まず、キルアの行動を思い出してもらいたい。彼は停電した瞬間に腕の関節をはずし、瞬時に糸から抜け出した。ならばゴンはどうか? ゴンには糸から抜け出す気配が感じられない。マチの糸から抜け出す事が、逃げ出すための絶対条件なのに、なぜゴンは抜け出そうとしなかったのか謎だ。クラピカが旅団を捕獲するために気をそらせた、とも考えられない。なぜなら、失敗した時に「失敗(やられた)…!」と思っているからだ。つまり、逃げるつもりだったが失敗したと言う事だ。
次に、ゴン達は逃げ出そうとしてよかったのか、と言う点。
クラピカは受付に変装し、男と談笑していた。だから、ゴン達の様に 停電前に目を瞑っておく事は不可能。そうなるとクラピカは、あらかじめターゲットの位置を確認しておいて、停電した瞬間、相手が動かないうちに素早く捕獲する必要がある。と言う事は、クラピカは初めから団長を狙っていたという事だ。
さて、ここで、ゴン達が逃亡に成功したと仮定してみよう。すると、ゴン達も団長もクラピカの元にいるという状態になる。しかしそうなるとクラピカにとって不都合なのだ。と言うのも、本編ではゴンとキルアを連絡係に使ったが、それができなくなってしまう。さらに、本編でパクノダをリンゴーン空港に呼び出した際にゴン達の解放を求めなかったと言うことは、この後もゴン達を使って何かをしようと考えている証拠だ。だが、それもできなくなってしまうのである。
さらに、ゴンがパクノダを蹴飛ばした点。クラピカは、元々パクノダを捕らえるつもりだったはず。団長を捕らえた理由は色々考えられるが、パクノダを蹴ってしまったら鎖が空振りしてしまうではないか。結果的には団長を捕らえたので問題ないが、ゴンは少々軽率だった気がする。
そして、この作戦の決行について。12巻107ページで、走るクラピカにゴンは「いい手が浮かんだ」と叫んでいる。それは129ページから解る様に、クラピカには話したらしい。しかしキルアには話していない。しかしゴンは、「いつやるか」ばかりを気にして、キルアに作戦を伝えてない事など全く気にしてない様だ。しかしキルアは、ゴンと同じ作戦を考えていたらしい。だが、こちらもゴンには話していない。
さらに140ページでキルアが目を瞑った時、ゴンは「うまい…!!」と思っているが、作戦を知らない(実際は同じ作戦を考えていたが)キルアの何がうまいのか不明だ。もしキルアがゴンと同じ作戦を考え付かなかったら、「うまい」と思ってゴンも目を瞑った直後にキルアは目を開け、いざ停電になったらキルアは動かない、という事になっていたかもしれないのに。
最後に。上で書いた様に、走るクラピカにゴンは「いい手が浮かんだ」と言ったが、何がしたいのかよく解らないこの作戦をクラピカに話し、クラピカも了解したのだろうか? わざと旅団に捕まる所も作戦だったのか? ならば逃げ出すつもりだった? しかしそれでは上で書いた疑問点が………。
「予定外の事態が起こりすぎてガタガタになった」とも考えられるが、旅団に捕まった後に「作戦はもうクラピカに話した」と思っているので、やはりその作戦は旅団に捕まる事を想定して作られていたという事に…。しかしそうなると、やはり疑問が…
富樫先生には悪いが、謎ばかりだ。
■ 訂正 ■
キルアに作戦を話していないという点は、ゴンがクラピカに話した作戦をセンリツも聞いていたと仮定すれば解決できる。ゴンとセンリツの距離と、雨音、大勢の人の足音や話し声、車の音、電車の音(確実ではないが)などを考えると、多少疑問は残るが、これ以外に方法は無さそうだ。
(yu@さんからのご指摘です。ありがとうございました。)